こんにちは、海外起業家名鑑|Unicorns Mediaを運営してます、あきです。
海外企業の創業秘話ついて毎週取り上げるこのニュースレター。
今回はRedditを創業した「Steve Huffman(スティーブ・ハッフマン)」と「Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)」について掘り下げていきます!
大学の初めての授業で教授から
「どうして大学に入ったんですか?」
と聞かれたら、あなたはどう返答しますか?
Redditの創業者Steveは、その質問に対し
"I want to make world suck less."
「世界をもっと良いものにしたい」
と答えた。これが、後にRedditを創業する理由になる。
SteveはComputer Science、AlexisはHistoryとBusinessを専攻。彼らはUniversity of Virginiaに通っていた。
出会ったのは、入学時の引っ越しのタイミング。お互いにゲームが大好きで、それが共通の話題で仲良くなった。最初は別々の寮に住んでいたが、途中からルームメイトになり、よくPlayStation 2をしていた。
毎日、だらだらゲームをして過ごす大学生活が3年間続く。
ある日、Alexisが朝食を食べるためにWaffle Houseで並んでいた時、ふと
「好きでもない仕事に就きたくないよな」と考えた。Business専攻の学生は弁護士になるしか将来がないし、それは自分が将来したい事ではない。
そういえば、Steveはいつも「こんなビジネスが次に流行りそう」と言っている。じゃあ、一緒にビジネスをすれば面白いのでは?と思った。
早速寮に戻り、そのことをSteveに話した
Steveは、「携帯を使ってレストランで事前に注文ができるサービスを作らないか?」と提案。
そのアイデアの原点は、Steveがガソリンスタンドでのひらめき。
アメリカのガソリンスタンドには、コンビニのような軽食を買えるお店が隣接していて、サンドイッチなどを頼むには給油所から店内に入ってPOSマシーンを使わなければなかった。
これがすごく手間だと感じていたSteveは、事前に携帯を使って注文できるサービス『My Mobile Menu』を思いつく。
これを思いついたのは、卒業間近の4年生の時期。そのアイデアを実現するために、日中Steveはスタートアップでエンジニアとして働き、仕事終わりにAlexisと一緒にこのプロジェクトを始めることを決意。
だが、このプロジェクトを始めるために彼らの両親から資金をもらおうとするが、失敗に終わる。
その春、スタートアップアクセラレターでAirbnbやDropboxやStripなど有名起業を輩出しているY Combinatorの創業者Paul Grahamがボストンのハーバード大学で講演をすることを耳にする。
Y Combinator 創業者 Paul Graham(ポール・グラハム)
Steveは元々Paulの大ファンで、彼の有名なスタートアップに関するエッセイのウェブサイトを読み、Paulが書いたプログラミング言語の本『On Lisp』を持っていた。
その本にサインをもらいたいと思い、バージニアからボストンまで向かうことを決意。そこで、Alexisが「My Mobile Menuのことについて話したらいいのでは?」と提案した。
講演では、Paulは有名なエッセイ『How to Start a Startup』について話していた。そこに来ていたほぼ全員が現地の人たち。しかし、バージニア州からわざわざ電車で講演を聴きに来ていたのはSteveとAlexisだけ。
講演が終わると、Steveはサインをもらいに行き、「ファンです!」と伝えた。するとAlexisは、「僕らはUniversity of Virginiaから長い時間をかけて電車でこの講演を聞きに来た。だから、自分たちのスタートアップのアイデアをぜひ聞いてほしい」とPaulに伝える。
Paulは、聴衆のほとんどが現地の人だった中、彼らだけが遠方から来ていたことに感銘を受け、「彼らのビジネスの話を聞かなければならない」と思ったという。
その後、SteveとAlexisはPaulと待ち合わせをし、コーヒーを飲みながら話した。2時間My Mobie Menuの話をした結果、Paulはそのアイデアを気に入り、その年から創業しようとしてたY Combinatorのピッチに参加することを勧めた。
数週間後、再びボストンを訪れ、Y Combinatorのピッチにするが。そのアイデアはY Combinatorに却下されてしまう。
なぜPaulはこのアイデアを却下したのか。
「いやいや、めっちゃええって言うてたやん……」と思いながら、その敗戦を噛み締め、バーで酔い潰れ、帰りの電車に乗った。
すると、なぜかPaulからAlexisに着信。
Paulは彼らの頭の回転の速さと人柄に魅了されており「何か他のプロジェクトに取り組むのであれば投資する」と伝えた。
ただし、「絶対に携帯を使ったサービスはするな」。
この話を聞き、酔いながらも途中下車しPaulとブレインストーミングをするためにボストンに戻り、新たなプロジェクトに取り組むことを決めた。
Redditのアイデアは、プログラミング界隈で流行っていたコンピュータ関係のニュースを扱う「Slashdot」というサイト。そして、ユーザーが好きなサイトのリンクを貼り、あとから見返すためのサイト「Delicious」からインスピレーションを得た。
「Front Page of the Internet(インターネットの一面)」を作るというコンセプトで、誰でも自分の好きなことを掲示板に書き、それを他のユーザーが高評価と低評価、コメントで反応できる仕組みを考えた。
このアイデアを軸に、Y Combinatorから12,000ドルの資金調達と起業支援を受ける。
しかし、Redditのユーザー獲得は非常に難しかった。
そこで彼らは100個以上のアカウントを自ら作成。自分たちで投稿、コメント、いいねを行うことでいかにもサイトが賑わっていることを装った。
そのサイトを大学内で行われているネットワーキングイベントや講義などで、参加者にRedditに登録することを勧めユーザーを獲得。
ある日、Paul Grahamが自身のブログでRedditのローンチを公言した記事を公開。そこからサイトのサーバーがダウンしてしまうほどのユーザーがサイトに殺到。
そこまでは彼らはこのプロジェクトに対して、大学で出される課題の延長線としか考えていなかったが自作自演ではない掲示板や記事が沢山生まれ、これはビジネスになると確信。
しかし。ローンチから2ヶ月後、次々とAlexisの周りで不幸が起きる。
当時付き合っていた彼女がドイツの旅行中に階段から転んでしまい、命に別状はなかったが全治4ヶ月の大怪我を負ってしまう。
また、彼の母が脳腫瘍にかかってしました。
息子が人生を捧げているRedditの開発の邪魔をしてしまい、母はとても申し訳ないと思っていたと言う。そこで、AlexisはRedditのプロジェクトを失敗させるわけにはいかないと決心した。
そこからRedditは急成長し、2006年の終わりに70万人ユーザーを獲得。
ローンチからわずか1年半でVougeなどを出版しているメディア起業Condé Nastから買収のオファー。その額なんと2000万ドル。
当時22歳だった彼ら売却することを決意。
その金額両親たちが生涯稼いできた額よりも多かった。ジョークだと思ったと語る。そこで母に支えてくれた感謝の気持ちと共に売却の話を連絡した。
売却後も彼らはConde Nastに3年間在籍し、Redditの収益化や新しい機能を追加するのを手伝った。
Redditは、今や世界最大級のオンラインコミュニティとなり、月間アクティブユーザーは5億人以上に達している。
政治、テクノロジー、エンタメ、投資など多岐にわたるトピックで議論が交わされ、特に2021年の「GameStop騒動」では、個人投資家たちがReddit上で結束し、ウォール街のヘッジファンドを揺るがすほどの影響力を持つことを証明した。
また、2023年にはIPO(新規株式公開)を果たし、企業としての成長を加速させている。創業から約20年が経った今も、ユーザー主導のプラットフォームとして進化を続けている。
今回は以上です。
Redditの創業秘話いかがだったでしょうか?
SteveとAlexisの成功は、その「行動力」にあると思います。最初のビジネスアイデアを考えて、バージニアからボストンまでPaul Grahamの講演を聞かなければ、今のRedditはありません。あなたも目の前にある「チャンス」を見逃さず、日々を過ごしてみてください。
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