こんにちは、海外起業家名鑑|Unicorns Mediaを運営してます、あきです。
まず初めに、購読してくださっている皆様大変ありがとうございます。先週ニュースレターの更新が出来ず大変申し訳ございません。
今後のニュースレターのあり方や、私が運用してるSNSとの連携方法を考える時間に当てたかったという個人的な理由でした。その時間で1つ答えにたどり着けました。
これからの発信で応用していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします!
それでは今回のニュースレターに移りましょう!
日本では全く取り上げられていない海外企業の創業秘話ついて毎週取り上げるこのニュースレター。
今回はファッション版Tinderを創業した「Dhruv Bindra(ドゥルヴ・ビンドラ)」について掘り下げていきます!
起業を夢見る人が誰もが通るY Combinatorの動画『How to Start a Startup』やその創業者Paul Grahamのエッセイ、Peter thielの『Zero to One』などを読み漁っていたインドの高校生。
誰も彼がプログラミングの経験もなかったのに、アプリを開発し、たった16ヶ月で数百万ドルで売却するなんて考えてもいなかった。
🗒️もくじ
2022年、デューク大学の教室。ドゥルヴは、退屈な講義中にクラスメイト達がファッションサイトをだらだらとスクロールする姿が目についた。
よく考えてみると、なんの意図もなく商品を見ることはサイトとユーザー両者側とも全くメリットがないのではないか。もしユーザーが、見ている服を「見なかった」のか「気に入らなかった」のかを区別できるようになれば彼らの好みがわかる重要なデータが手に入る。そうすれば、より正確なおすすめしたい服を選定できて、ユーザーもネットで服を漁る時間が省く事が出来る。
これをTinderのようなスワイプインターフェースで解決できるのではないか?
自分のひらめきに感動するが彼にはプログラミングの経験が全くないままだった。大学1年生まで経済学専攻で、2年生からコンピューターサイエンスの授業が始まるためコーディングスキルは皆無だった。
だが、この観察眼と分析力が最大の武器となる。
その2つの武器は突如として生まれたものではなく、幼少期の環境から培ったものだ。ドゥルヴは両親ともに起業家という環境で生まれ、起業家一家ならではの数々のエピソードがある。
これらの経験が起業家マインドを生み出すことができたと彼は語る。
彼はプログラミング経験が全くないに等しい。そこで、デザインに長けていた友人のRahul Bhandariに頼み、デザインソフトFigmaを使ってプロトタイプを作成。
プロトタイプの中には、100種類以上の衣類の写真を取り込んだ。そして、インスタで35人の女友達をDMでフォーカスグループとして募集。週に一度何人かをカフェテリアに呼んで定期的にデモを実施。しかし、その作業はとても地味なものだった:
このテストから、ユーザーはゲーム感覚で服選びを楽しみ、スワイプデータは従来の閲覧データよりもはるかに正確な数値を表していたことを発見した。
自分たちが良いサービスを開発しても、ユーザーがいなかったら話にならない。そこで、彼らが行ったのは大胆なキャンパスマーケティングだった。特に興味深いのは2000枚以上のQRコードを大学内のキャンパスに散りばめた事。その際大学の印刷機ほぼ全てのインクがなくなるほど、紙を刷ってた。
しかし、結果は自分たちが思っていたものとは程遠いダウンロード数だった。
キャンパスマーケティングが失敗に終わった後、サービスのターゲットをもっと絞る事に。その答えが、ソロリティ(女子学生社交団体)のメンバーたちだった。彼女たちはファッションに敏感で、社会的につながりが強く、影響力があった。また、外出や買い物の機会が多く、すでにユーザーだった人たちは特に定着率が高い。
そこで気がついたのは、ソロリティのインスタがそのメンバーをフォローバックすること。
ここから生まれた大胆な行動が:
これを元に「Guess My Sorority.com」というウェブサイトを作成。このサイトはファッションの好みに基づいてユーザーのソロリティを「予測」すると主張。しかしこれは表向きの売り文句で、裏には巧妙な手口があった。
その仕組みは:
ユーザー名をスクレイピングしたデータベースと照合する単純な仕組み。最初の質問以外はほぼダミーで、ログイン情報からソロリティを予測していた。これは法的にはグレーゾーンながら、彼女たちの好みの服に関するデータを得るとともに、90%の精度でソロリティを的中させる「マジック」として機能した。
ソロリティを当てられた人は高確率で、SNSのストーリーなどで友達に共有。このSpotify Wrappedを模した共有可能なInstagramストーリーテンプレートと組み合わせることで、爆発的な拡散を実現。
このキャンペーンは広告費をかけることなく、わずか2週間で120万のページビューを記録。CTRは2%に達するが、今回もダウンロード数が思ったように伸びない。
キャンパスマーケティングや、Guess my sororityのサイト立ち上げなど大胆なことをしたがダウンロード数は2000止まり。ドゥルヴは、Styl AIのプロジェクトは成功しないんじゃないか悩んでしまう。
そこで自分が思いつく他のマーケティングを9つ紙に書きだし、それが全て成功しなかったらこのプロジェクトは辞めようと誓った。その1つがSNSマーケティングだった。
現代のスタートアップでは必須になるもので、TikTokやインスタのアルゴリズムに引っ掛かれば、広告費用をかけずに多くの人にサービスを見てもらえる。じゃあなぜこれまでドゥルヴは、SNSマーティングを行わなかったのか?
それは実際アメリカ女性のためのファッションアプリを開発しているは、アクセントの強いインド男性。訛りの強い声で動画に出て話していたら、普通に考えて反感を買うだろうと思っていたからだ。
だが、この逆張りの考えがStyl AIを大きく成長させる事になる。
それまでは、インド人男性がアメリカの女性向けアプリをプロモーションすることに抵抗があったが、「最後のチャンス」と思い切ってTikTokとインスタに自身が登場する動画を投稿した。
結果は驚異的だった:
ドゥルヴはこの成功を「運」ではなく、綿密なデータ分析の結果だと説明する:
特に効果的だったのが「We're a couple of brown dudes. please save us」という冒頭のパンチライン。インド人男性がアメリカ女性向けファッションアプリを作るというギャップが視聴者の関心を引いた。
さらに「100,000ダウンロードまで髭を剃らない」企画を実施。通常ではしないような髭の剃り方で自分で口元を切り、血だらけになる様子を投稿し、視聴者からの「やめて!」というコメントを多数集めた。
Day1、Day2といったシリーズ化にも成功し、ソロリティの女子が全員フォローするような有名人がSNSで引用するまでに発展。ミームが作られるほどの話題となった。
この革新的なグロースハックにより、Styl AIは短期間で:
収益面でも実験を続け:
2024年12月、ローンチからわずか16ヶ月で、Styl AIは7桁の金額で買収された。この買収はただの売却ではなく、Dhruvたちが会社の一員として雇用され、Styl AIプロジェクトに継続参加するという形になった。
今回は以上です。
Styl AIの創業秘話いかがだったでしょうか?
この成功の裏には、創業者の圧倒的なコミットメント力と分析力があると思いました。調べていたインタビューで彼がずっと言っていたのは、Styl AIは自分の子供のようなものだから、どれだけ失敗しても手放すことは出来ない。その執着力からグレーゾーンのスクレイピングのアイデアを生み出し、逆張り思考のSNSマーケティングも思いついたのかと。逆張り思考を利用したSNSのアカウントで溢れているのにも関わらず、埋もれず毎動画で冒頭5秒の視聴維持率が良いフックやキャプションの文字の位置は良いのかなどインサイトを見ながらバズった動画のデータを分析してました。
ぜひ彼のインタビューも事業に挑戦している人や、学生さん、どんな方でも楽しめると思いますのでぜひ以下からご覧ください。
「面白かった!」「ここが意外だった!」など、あなたの感想をぜひコメント欄で教えてください!またXやInstagramのストーリーなどでコメントを添えてシェアもお時間あればよろしくお願いします🙏
また、今後取り上げてほしい海外起業家や企業があれば、お気軽にInstagramのDMにてリクエストをお寄せください💡
ニュースレターの購読がまだの方は、ぜひ登録を!
ではまたお会いしましょう!